【HACCP(ハサップ)】キッチンカー・カフェの為の衛生管理計画書を作成

コーヒーを販売しているキッチンカー

「カフェ開業@キッチンカー」奮闘記 第24歩:
【HACCP(ハサップ)】キッチンカー・カフェの為の衛生管理計画書を作成

僕は「キッチンカー・カフェ」開業を予定しています。

まだまだ準備することは、たくさんありますが、その中でも忘れがちだけど絶対に必要になるものを今回は作成しようと思います。

それは、HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた「衛生管理計画書」です。

めちゃくしゃ難しいのかと思いましたが、意外に簡単でした。

この記事では、僕のような個人事業主(小規模な飲食店)に求められる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の作成方法がイメージいただけるかと思います。

もし、あなたが何かカフェなどの飲食店の開業を予定されているようでしたら、ご参考にしてみてください。

目次

HACCP(ハサップ)とは、なに?

HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の頭文字を取ったもので、「危害要因分析・重点管理点」と訳されます。

HazardAnalysisandCriticalControlPoint
危害分析重要管理

原材料の受入から最終製品の出荷までの「工程」ごとに、微生物、化学物資、異物混入などの潜在的な危害要因を分析・特定したうえで、危害の発生防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する衛生管理手法です。

食品衛生法の改正により、すべての食品事業者を対象に「HACCP」の義務化されました。

2018年6月 食品衛生法の改正法案可決
2020年6月 食品衛生法の改正法 施行(1年間猶予期間)
2021年6月 HACCP完全義務化

ただし、事業者の規模によって、求められるものが以下のように分けらています。

  • 「本格的なHACCP」…HACCPに基づく衛生管理
  • 「簡易的なHACCP」…HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

個人事業主として営業する「キッチンカーカフェ」のような場合は、後者の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に取り組んでいくことになります。

余談ですが、「HACCP」はもともとは、NASAの宇宙開発計画の一環で作られたものなんだとか。
宇宙飛行のイメージ
ロケット部品の品質管理はもとより、「宇宙食」の衛生管理にも採用された衛生管理手法なんです。
宇宙では一人でも人員を欠いたら大惨事になりますから、絶対に食中毒なんか起こすわけにはいかないんです。。。
そんな厳しい背景で生まれた「衛生管理手法」である「HACCP」は、消費者の安心安全を守るためにとても有効であり、大事なんですね。

僕の予定している「キッチンカー・カフェ」のメニュー

HACCPを作るうえで、カフェとして提供するメニューが必須になります。

僕の場合は、別記事でも書きましたが以下のようなメニュー(コーヒードリンク中心)を予定しています。

メニュー原料備考重要管理分類
【通年】コーヒー(ホット・アイス)コーヒー豆、水、(アイスの場合:氷)ブレンド3種類・シングルオリジン3種類(常に5~6種類の豆を扱う)加熱するもの
【通年】カフェオレ(ホット・アイス)コーヒー豆、水、牛乳、(アイスの場合:氷)ミルクを使用する。加熱するもの
【通年】紅茶(ホット・アイス)紅茶、水、(アイスの場合:氷)ダージリン・アッサム・ヌワラエリアなど3種類程度を扱う。加熱するもの
【通年】チャイ(ホット・アイス)紅茶、水、牛乳、(アイスの場合:氷)ミルクを使用する。加熱するもの
【通年】ルイボス(ホット・アイス)ルイボス、水、(アイスの場合:氷)加熱するもの
【通年】カモミール(ホット)カモミール、水加熱するもの
【通年】カモミール・オレ(ホット)カモミール、水、牛乳ミルクを使用する。加熱するもの
【通年】オレンジジュースオレンジジュール仕入れ商品非加熱のもの
【通年】アップルジュースアップルジュース仕入れ商品非加熱のもの
【夏期限定】アイス・コーヒースムージーアイスコーヒー、氷、シロップ非加熱のもの
【夏期限定】コーヒー・フロートアイスコーヒー、氷、アイスクリームアイスクリームを使用する。非加熱のもの
【通年】フードチーズケーキチーズケーキ仕入れ商品(仕入れ先を探す)非加熱のもの
【通年】フードチョコレートチョコレート仕入れ商品(仕入れ先を探す)非加熱のもの

このメニューを提供する場合の衛生管理計画を3つのステップで作成していきます。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画をつくる3つのステップ

ステップ1:原材料や工程ごとのハザード(危害要因)を考える

生物的危害要因と管理方法

生物的危害要因と管理方法管理方法(一例)
加熱調理冷蔵・冷凍温度その他
細菌基本:中心部を75℃1分間以上の加熱
(ハンバーグ、から揚げなど)
冷蔵温度10℃以下
冷凍温度-15℃以下
・加熱の強さと加熱時間
・焼き色
・肉汁の色
・硬さ、弾力等
ウイルス(例)ノロウイルス:
中心部を85℃~90℃90秒間以上加熱(二枚貝など)
寄生虫(例)アニサキス:70度以上の加熱-20℃以下24時間以上冷凍(生食の場合)

ポイント① 一般的に細菌は10℃~60℃で増殖。この温度帯に長時間放置せずに速やかに冷蔵・冷凍保管。

ポイント② 2次汚染や交差汚染を防ぐために、原料の仕込みと加熱後の調理を分離。

⇒【僕のキッチンカー場合】:牛乳、ジュース類、お水(ミネラルウォーター)、氷、アイスクリームを適切な温度帯で保管すること。

化学的危害要因(化学物質の混入)と管理方法

化学的危害要因と管理方法
(化学物質の混入)
管理方法
正しい使い方保管方法
揚げ油・におい、色、味、泡などで判断する。
・できるだけ継ぎ足しをせず、一定回数で廃棄する。
蓋つき容器で、冷暗所に保管
洗剤、殺虫剤使用料、希釈倍率を守る別容器に小分けする時は、容器に明確に表示して、決められた場所で保管する。
食品機械油(漏れなど)定期的なメンテナンス
異常を速やかに察知する。

⇒【僕のキッチンカー場合】:洗剤を適切な場所に保管する。

物理的危害要因と管理方法

物理的危害要因と管理方法
(危険異物混入)
管理方法
食品に接触する機械器具の確認
使用されている金属、ガラス等洗浄時などのチェック、定められた部品の定期交換、機械器具の十分な洗浄など

⇒【僕のキッチンカー場合】:コーヒーミル、ブレンダーの毎日の洗浄

ステップ2:一般的衛生管理計画を作成する。

一般衛生管理のポイント
① 原料の受入確認いつ原料納入時(購入時)
どのように包装の状態・賞味期限
問題があったとき廃棄
② 庫内の温度確認(冷凍庫、冷蔵庫)いつ始業前
どのように付属の温度計を確認(冷蔵:10℃以下/冷凍:-15度以下)
問題があったとき温度異常があった場合は、食材の状態を確認して、廃棄か使用するかを決める。
③ 交差汚染・2次汚染の防止いつ始業前
どのように冷蔵庫の保管状態を確認。
調理器具は、使用の都度十分に洗浄消毒しているか確認する。
問題があったとき器具の汚れを確認して、洗浄消毒を実施する。
④ 器具の洗浄・消毒・殺菌いつ業務終了後
どのようにコーヒーミルの刃の清掃。
問題があったときコーヒーの粉、異物は除去する。
刃のかけなど決定的な不具合があった場合は、交換修理。
(修理完了まで代替機を使用する)
⑤ 従業員の健康管理いつ始業前
どのように体調管理(下痢、嘔吐、発熱)
ユニフォーム(帽子含む)着用
問題があったとき病院受診、作業着の正しい着用指導
⑥ 手洗いの実施いつ始業直前、一旦外に出てキッチンカーに入った時
どのように衛生的な手洗いを行う。
問題があったとき指導する。

現状で思いつくのは上記6項目ありますが、今後この項目は、「見直し」て追加・修正を加えて行くことが必要。

ステップ3:重要管理計画を作成する。

メニューを以下のように「非加熱」「加熱」「加熱後冷却、再加熱」に分類します。

分類代表例自分のキッチンカー・カフェの場合
非加熱のもの刺身、冷ややっこ、生野菜サラダなどジュース、アイススムージー、個装のスイーツ(仕入れ)
加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)ハンバーグ、焼き魚、焼き鳥、炒め物などコーヒー、紅茶各種(ホット、アイス)
加熱するもの(加熱後、高温保管)から揚げ、肉まん、シュウマイなど「該当なし」
加熱後冷却し、再加熱するものカレー、スープなど「該当なし」

僕の場合は、「非加熱のもの」、「加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)」の2グループのみに分類できます。

各分類に応じた「管理方法」を以下のように作成します。

分類自分のキッチンカー・カフェの場合管理方法
非加熱のものジュース、アイススムージー、個装のスイーツ(仕入れ)注文受け時に冷蔵庫・冷凍庫から取り出し、使用後はすぐに戻す。
加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)コーヒー、紅茶各種(ホット、アイス)90℃前後のお湯で抽出する。

問題があった食材は、その食材の特徴、品質面を考慮し「廃棄」か否かを判断。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画シート

これをエクセルを使って、表にしたものが以下になります。

HACCP衛生管理計画書1

HACCP衛生管理計画書2

実際に運用する際は、次のどちらかのソフト上で管理運用したいと思います。
(できれば「スマホ」上から記録していきたい。。。)

  • エクセルのシート(月次)ごとに入力する。
    HACCP衛生管理計画(エクセル)
  • ウィンドウズの「One note」でこのシートを管理運用する。
    HACCP管理計画(ONENOTE)

まとめ【HACCP(ハサップ)】キッチンカー・カフェの為の衛生管理計画書を作成

それでは、これまでの内容を簡潔にまとめたいと思います。

  • ハサップとは、原材料の受入から最終製品の出荷までの「工程」ごとに、微生物、化学物資、異物混入などの潜在的な危害要因を分析・特定したうえで、危害の発生防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する衛生管理手法。
  • 個人事業主でやるようなキッチンカーの場合は、「簡易的なHACCP」(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)を実施することになる。
  • HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画をつくる3つのステップ
    ①原材料や工程ごとのハザード(危害要因)を考える。
    ②一般的衛生管理計画を作成する。
    ③重要管理計画を作成する。
  •  出来上がった僕の「キッチンカーカフェ」の衛生管理計画がこれ。。。
    一般管理計画一般衛生管理のポイント
    ① 原料の受入確認いつ原料納入時(購入時)
    どのように包装の状態・賞味期限
    問題があったとき廃棄
    ② 庫内の温度確認(冷凍庫、冷蔵庫)いつ始業前
    どのように付属の温度計を確認(冷蔵:10℃以下/冷凍:-15度以下)
    問題があったとき温度異常があった場合は、食材の状態を確認して、廃棄か使用するかを決める。
    ③ 交差汚染・2次汚染の防止いつ始業前
    どのように冷蔵庫の保管状態を確認。
    調理器具は、使用の都度十分に洗浄消毒しているか確認する。
    問題があったとき器具の汚れを確認して、洗浄消毒を実施する。
    ④ 器具の洗浄・消毒・殺菌いつ業務終了後
    どのようにコーヒーミルの刃の清掃。
    問題があったときコーヒーの粉、異物は除去する。
    刃のかけなど決定的な不具合があった場合は、交換修理。
    (修理完了まで代替機を使用する)
    ⑤ 従業員の健康管理いつ始業前
    どのように体調管理(下痢、嘔吐、発熱)
    ユニフォーム(帽子含む)着用
    問題があったとき病院受診、作業着の正しい着用指導
    ⑥ 手洗いの実施いつ始業直前、一旦外に出てキッチンカーに入った時
    どのように衛生的な手洗いを行う。
    問題があったとき指導する。
    重要管理分類自分のキッチンカー・カフェの場合管理方法
    非加熱のものジュース
    アイススムージー
    個装のスイーツ(仕入れ)
    注文受け時に冷蔵庫・冷凍庫から取り出し、使用後はすぐに戻す。
    加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)コーヒー、紅茶各種
    (ホット、アイス)
    90℃前後のお湯で抽出する。

    ※使用していく中で、定期的に修正・改善を加えていきより実態に則した形にしていくこと!!
    (衛生管理計画の見直し)

以上が、僕のキッチンーカフェでの衛生管理計画になりますが、最後に自戒を込めて。。。

本当に大事なのは、「衛生管理計画を作成する」ことではなく、実行することですよね。

開業した暁には、これを「キッチンカー内の見えるところ」に貼って、しっかり「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を実施していきたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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